8回から急に面白くなって、今回の最終回も見応えのある楽しいエピソードでした。
又、落とし方も中々上手で、ドラマの切欠がドロドロな感情だったのに対して、エンディングは実に爽やかに後腐れなく終わったと言うところも好感が持てます。
とは言え、相変わらず突っ込みどころが満載ではあるのですが・・・。
そんな突っ込みどころもドラマの勢いと役者の演技力が十分にカバーしていたのではないかと思います。
ドラマは世界観が大切ですからね。
最終的に良い感じで纏まった嘘の戦争ですが、やはり中盤が冗長だったのは否めません。
序盤の掴みは中々良かったのですが、3~7話迄は特に粗が目立ってしまって、素直に楽しんで鑑賞出来ない事もしばしばありました。
このドラマ、スペシャルで2時間を2回とかで構成したらかなり良いドラマになったんじゃないかなぁ?
10話にする為に無理矢理いくつものベールを重ねてしまって、結果、キャラクターの行動が散漫になってしまったのではないかと思えます。
散漫と言うよりは迂闊って言った方がいいのかな?
希釈した内容に無理矢理付加価値を加えた様に感じてしまいます。
これが2時間ドラマx2とかだったら、もっとスピード感を持って観る事が出来たのになぁ。
あと、やや残念に思うのは、もう少し浩一と二科3兄妹との奇妙な友情的なところを掘り下げてもよかったんじゃないかと言うところ。
楓や晃とは、それなりに人間関係を育んでいたのですが、隆と浩一には敵味方以外の人間関係はありませんでしたからね。
楓に「ごめんな」と言うシーンは、詐欺師ではあるけれど決して悪人では無く、むしろその逆である浩一のキャラクターを上手に表現していた、本ドラマの名シーンのひとつだったのではないかと思います。
又、馬鹿(笑)ではあるけど、こちらも悪人ではない晃に対しての落としどころも中々良かったのではないかと思います。
彼自身も自らの罪に対して苦しんでいた訳で、そう言う意味では、最終的に浩一に加担する事で罪を償う、つまり、心が開放されたと言う、中々美しい落とし方をしたのではないかと思います。
隆が浩一に心を許す(?)っぽい描写があるのは、楓の爆発がトリックだったと知らされたあたりだから、本当に最後の最後。
もう少し隆と浩一の間を掘り下げる描写があれば、最後の空港のシーンがもっとグっとくるものになったんじゃないかと感じました。
お互いが憎みきれない同士でありつつ、お互いの立場故に戦わざるを得ないみたいな部分を、もっと丁寧に描写しても良かったんじゃないかな?
しかし、このドラマ、演技派の役者が勢ぞろいで豪華でした。
多少「ん?」と思えるシナリオでも、迫力で押しきれるのは凄い事だと思います。
今回のメインイベントの二科会長に謝罪させるシーン等は、役者の入り込み方がハンパじゃなくて圧倒されてしまいました。
剛くんは入り込み過ぎて涙ボロボロ流してるし、市村さんは不適で憎たらしいしで、ホントに迫力のあるシーンだったなぁ。
極端な話、作劇が多少いい加減でも、役者の力でドラマに説得力を持たせる事が可能なのかもしれませんね。
さて、なんとなく丸く収まった感のある嘘の戦争ですが、結局、浩一の目的は、あれでよかったのかな?
一ノ瀬浩一の名を捨てた彼は千葉陽一に戻ったのかな?
でも、結局詐欺師なんだね。(笑)
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