即ち、ここでほのぼのほんわかとした若い二人のほろ苦く、そして普通の恋を描写しておいた方が、後に訪れる別れがドラマチックに、そして残酷になるからでしょう。
そう言う意味では非常に救いの無い物語なんですよねぇ。
エンディングでも出てくる通り、今アイラがつけている日記が、この物語のキーアイテムなのはエンディングを見ればわかります。
当初は業務日誌的な位置づけのものかと思ったのですが、普通にアイラの心情を書き綴ったものの様でした。
司と恋人になった喜びを書いているシーン等は中々切ないものがあります。
あの時点で、司とアイラが近い未来にくる別れを意識しているのか否かはわかりませんが、少なくとも、恋人になれたと言う大きな喜びを得たのも束の間、特に残される司にとっては耐え難い別れが訪れる訳ですから、感情は一気に喜びから悲しみへと180度シフトするのがマストだと思うと、本当、この作者は意地悪いなぁとも思ってしまいます。
今後の興味としては、司がどういう結末を選ぶかと言う事でしょう。
即ち、アイラの回収破棄を選び、アイラの綴った日記と共に、二人の思い出を大切に生きていくのか、或いは、アイラの外観をそのままにOSの再インストールを行い、別の人間として再びアイラ(の外観)と思い出を作るのか。
美しい終わり方としては前者なのでしょうけど、ここは敢えて後者を選んで欲しいなぁ。